ツァイス・イコン/コンテッサのメンテナンス:前編
シャッターを整備する順序
1. 裏蓋を開け固定リングを外し、レンズボードからシャッターブロックを分離する。
固定リングを外す治具は1.5㎜の真鍮板を切り抜き、ヤスリを掛けて自作する。
ヤットコやその他の治具では蛇腹を傷めるリスクが大である。
2. 前面の連動距離環は側面のイモネジ(1.2mmφ×1.6mm :3本)を緩め、レンズ
付シャッターブロックから取り外す。
3. インデックスマーク付きのフロントキャップを取り外す。(ネジ4本)
この時点で前玉、中玉レンズが取りf外せます。
4. フロントキャップ用レンズヘッドスクリューを外す。(ネジ2本)
(ドレイカイルユニットの下端にあるメッキされた小金具)
5. ドレイカイルユニットを外す。(ネジ3本)→やっとシャッター本体が現れる。
6. シャッター分解OH、要所に注油する。
7. シャッター速度調整、1秒(スローガバナーの回転)、1/10秒(ディテントピンの曲げ)
1/100秒(スピードセレクターリングの長円形空洞の空き調整)、
3速の調整以外は自動調整の設計である。

コンテッサのシャッターはシンクロコンパーの非倍数系列の初期タイプである。
スローガバナー及び絞りユニットのビス締めに赤い弛み止めペイントを使用しているため、
ビスが固く、弛める時には適正ドライバーを選択しビス頭を傷めないよう留意する。


シャッターOH後の組立調整
1. シャッター本体をボディ側のレンズプレートにセット(シャッターに付いたダボをレンズプレートの穴に合わせる)。裏蓋側より締め付け環にて固定。
2. バルブ開閉のチェック
スプロケットを手送りして【B】の締まり具合をチェックする、開いたままや2段落ちがある場合は
レンズプレート、レリーズリング、スクリューリングに粉末モリブデンを塗布して再組立てをする。
3. シャッター速度調整-略 (前掲:レンズシャッターのメンテナンス参照)
4. 速度調整が終わったらシャッターブロックをレンズボードからとり外す。
5. ドレイカイルユニットをシャッターブロックに取り付け、本体のレンズボードに再度組込む。
6. シャッターブロックに3分割されたレンズ、中玉、後玉、前玉を組み込む。
7. 裏蓋を開けフィルム面にピントグラスをセットする。
8. カメラを三脚に据え200~700m先の指標となるものにピントを合わせレンズの∞を調整する。
ドレイカイルの真上中心部が∞の位置となるので、レンズの銘板の文字等の位置を記帳する。
9. 距離計連動ギヤ(オス)を嵌めてファインダーの2重像を∞の指標に合わせる。
連動距離環の∞の切込み(メス)位置はあらかじめドレイカイルにマーキングする。
10. 連動ギヤの切込み(オス)をマーキングに合わせ盛りかえる。
11. フロントキャップの取り付け。
12. 連動距離環を取り付け、ピント面と距離計の確認をする。ピッタリ合うまで繰り返し調整する。
※ 2重像の調整
水平方向2重像のは距離計連動ギヤを回して合わせる。連動ギヤは1回転で元に戻る。
上下方向2重像の調整はドレイカイルユニットの側面に見える小歯車を爪楊枝を使って調整
する。上下像の調整はかなり難しく根気がいる。

後編はコンテッサが搭載するシンクロコンパーMXの分解整備について投稿致します。
by Rose-Thorn