ライカレンズの微妙な焦点距離表示
昔はかなりのライカをコレクションしておりましたが、そのほとんどは、自家用車の購入や拙宅のリフォーム費用として消えてしまいました。
しかしながらその中の数本が、現在でも防湿庫で眠っています。
ところで皆様方は、ライカのレンズの距離環の無限の位置の少し横の場所に、小さな二桁の数字が刻印されていることにお気づきでしょうか?
一眼レフの場合は微妙な焦点距離の製造誤差などはすべて、ファインダーシステムに吸収され、全然問題にはなりません。
しかし、距離計連動式のライカの場合は、距離計と連動するカムの位置が、最短距離の1m&無限位置が厳密にきめられております。
これに合わせるためにライカ用のレンズ側のカムの角度を、個々のレンズにあうように微調整するわけで、このときレンズの製造誤差(厳密な焦点距離)が必要となります。
二桁の数字はまさにその製造誤差を表したものといえます。
写真にあるように白の「ズミルクス50mm/1.4」には、「14」の刻印があり、実焦点距離は51.4mmと言うことを表しています。
黒の「テレエルマリット90mm/2.8」には「95」の刻印があり、実焦点距離は99.5mmと言うことになります。
黒の「エルマリット90mm/2.8」には「05」の刻印があり、実焦点距離は90.5mmと言うことになります。
またビゾフレックス用としてレンズの頭部を外すことのできるレンズは、ヘリコイド側の内側にケガキでこのような数字が書かれていて、ほかのものとは共有不可とされています。
この数字によってヘリコイドの回転角をボディにあわせていました・・・・・っということは高度な品質管理が必要で必然的にコストアップにつながり、ライカ衰退の一因となったのではないかと考えています。
いずれにしても、いまはデジタル時代で、銀塩/ライカは遠くなりにけりでしょうか?





この場合に、
①製作後、レンズそのものを標準値に補正する方法、
②製作誤差の許容範囲を定め、それ以外のものは廃棄する。
と言う二つの方法があり、ライツは②を採用しましたので、焦点距離区分の数字がヘリコイドに記入されることになりました。
日本のメーカーは①を採用しましたので、ライカの定めた標準値51.6mmに合わせて作ってあるということになります。
ただしニコンのコンタックスマウントはこの数字なのに対し、ツアイスでは標準値を50.0mmとしましたので、両者の組み合わせでは、ピントが合わない(特に標準より長い焦点距離のレンズ)と言うことになります。
従ってニコンのコンタックス用レンズには、ボディにCのマークが入っています。
それにしても車購入や家のリフォームの足しになるとは凄い!
つまりヘリコイドレバー(いわゆるつまみ)の裏側に0から8の数字が入っていると思います、その意味は。
0=50.5mm 1=49.6mm 3=48.6mm 6=51.3mm 7=51.6mm 8=51.9mmで、1と3はA型ライカの改造品に多く、旧エルマーを含みます(いわゆる短鏡胴エルマー)。
6~8は製作誤差の許容範囲内なので、そのまま出荷されます。
いずれもこれらの話の出所は、中川一夫の著書からです。

エルマーも7