キャパになれなかったカメラマン・・・・白髭
最初は大阪の毎日放送のムービーカメラマンだった 「平敷安常」 氏が書いたヴェトナム戦争時代の話です。(K本さんは同じ仕事だったので面識があったそうです)
上下二冊に別れた分厚い本で 内容はたっぷりです。ムービーカメラマンはスチールカメラマンとは違ってフリーというのは殆どなく 大手のテレビ会社の社員か嘱託で(彼はアメリカABCテレビ) 常に記者とサウンドマンといっしょに働いています。テレビニュース用の映像を撮影するのが仕事です。
つまり記者が取材先を決定し 同行して取材し そのなかにスタンダッパー(ニュースの中に記者が登場して現場をバックに解説する・・・・戦場では弾の飛び交う中で記者が顔を出して中継する)が必要なのです。スチールカメラマンが自分だけで行動して取材するのとは趣が違うのです。
大体が組んだ記者との取材や個人的な付き合いの話ですが 当然取材時にめぐり合ったスチールカメラマンの話が沢山出てきます。キャパはありませんが 日本人の有名カメラマンの実像が見えるのです。ヴェトナムや ラオス カンボジャの戦争の本音が見えてきます。
チームとして働くので個人的な名前は売れないのが辛いところですが そのかわりテレビ映像は全世界の人々に見られたのは事実です。
現在は70歳位で アメリカ・ニュージャージイに家族で無事生活しているようです。
「自分は運もよかったし臆病だったから 死なずに仕事を終えることができた」というのですが いやいや大変立派な仕事をしています。仲のよかった 親友だったカメラマンの死に出合ったときの記事は 本当に悲しいものです。
この本は文藝春秋社の「大宅壮一ノンフィクション賞」を受賞しています。
チャンスがあったら 是非一度呼んで見られることをお勧めします。
次の例会までに読み終えていたらお借りできないでしょうか?
雑誌の方は本屋で立ち読みしてきます