ユージン・スミスの水俣・・・・・・白髭
最近出版された「ユージン・スミス 水俣に捧げた写真家の1100日」という本が面白かったので もう一度彼の写真集「水俣 MINAMATA」を見直しました。なお共にこれは生駒市の図書館から借りたものです。田舎の図書館にしてはこの図書館は写真集などの蔵本が多いので嬉しいですね。
ユージン・スミスは世界的に有名ですが日本での働きはあまり知られていません。それまでにも主に「ライフ」での活躍で知られています。読んでみるとたしかにすごい写真家ではありますがどうも偏執狂的なところがあってライフでも持て余されて喧嘩して離れてしまったようです。しかし「ライフ」以上の発表手段はなくてずいぶん悩んだようです。
日立製作所の招待で日本に来たときに水俣病の問題を知り 日本人であるアイリーン・スミスとの結婚してやって来ました。その時に偶然に助手として採用された・・・強引に・・・「石川武志」(今はフリー・カメラマンとして活躍中)さんの話が主になっています。
それまでにあれだけ有名で活躍したカメラマンなのに生活は貧困だったようです。前妻と離婚していますから蓄えはなかったんでしょう。面白いのは戦争中の怪我のせいで固いものが噛めず 常食は牛乳と一日一本のウィスキー(それもサントリー・レッド)だったとのこと。あの大きな体がそれで維持して活動できたんでしょうか?
窒素との交渉の取材で会社側の雇われガードマンに暴力をうけ その後遺症にも苦しんでいたようです。日本人として恥ずかしいことです。しかし告訴すると取材者としての自分の位置が中立でなくなってしまうという理由でいわば泣き寝入りした形になってしまっています。
有名なこの写真は現在は封印されています。版権とは関係なくこの写真は印刷や発表を禁止しているのです。
昔ちょっと読んだ話では 実はこの写真は妻のアイリーン・スミスが撮影したものだというのです。ですから女性の入浴シーンが撮影できたというのです。この件について興味があったのですが 全く触れられていません。もしそうならば ロバート・キャパのあの写真と同じような状況だったということになります。この問題も封印されているようです。
表紙のユージン・スミスが構えているカメラはなんと「オリンパスぺんF」です。
写真集はアメリカでは早く出版されたのですが日本ではずいぶん後になりました。当時の奥さんの アイリーン・スミスさんと共著です。